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就労移行支援の在宅訓練って本当にできるの?事業所選びのポイントも解説

2023.10.18

「外に出るだけで疲れてしまう」「体力に自信がない」
「電車に乗って通うのが不安」「人と対面で話すのが苦手」
就労移行支援に興味があるけど、このようなことで悩んでいませんか?

そんな方にぜひ知ってほしいサービスがあります。
それは『在宅訓練』というサービスです。

この記事では実際に約1年間、在宅訓練した私が詳しくお話していきます。

在宅訓練ってなに?

就労移行支援事業所で行っている、自宅で今後働くために必要なスキルや知識を身に着けるための訓練を行えるサービスです。

面談、スキルの習得、就活対策などの通所と同じような訓練をオンラインですることができます。

在宅訓練できる事業所はどれくらいあるんだろう?

在宅訓練できる事業所の割合は約3割です。
コロナ流行前に比べると在宅訓練ができる事業所は増えていますが、それでも少ないです。
[出典]就労系障害福祉サービスにおける 在宅でのサービス利用にかかるガイドライン

在宅訓練はどんな人が利用できるの?

利用対象者

・在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービスによる支援効果が認められると市町村が判断した利用者
[出典]就労系障害福祉サービスにおける 在宅でのサービス利用にかかるガイドライン

対象者としてみなされないケースの例

・「服薬管理」が決められたとおりできていない
・「体調不良時」に対処できない
・「自分の障害や疾病の理解」ができていない
・「感情のコントロール」ができずパニックを起こす
・「意思表示」ができない
・「就労意欲」「作業意欲」がない
・「指示に従わない」で、手休めをしたり居眠りをする
・「指示内容を理解できない」「ひらがなや簡単な漢字が読めない」
[出典]在宅における 就労移行支援事業ハンドブック

在宅訓練の利用方法・手続きの流れは?

①就労移行支援事業所を探す
②就労移行支援事業所を見学する
③就労移行支援事業所を決定する
④役所で受給者証の申請手続きをする
⑤就労移行支援事業所と利用契約をして利用開始

PCやネット環境を用意する必要はあるの?

貸出してくれる事業所もあります。事業所に確認してみましょう。
私はPCを持っていなかったので貸してもらえるか体験の時に確認しました。

在宅訓練の流れは?

【例】丸1日の訓練

【例】午前中のみの訓練

在宅訓練だと通所はしなくてもいいの?

国の決まりで月1回の通所は必要です。
事業所によって必要な通所の回数は違うので前もって確認をしておきましょう。

私が2つ目に体験に行った事業所では週3回の通所、実際に利用していた事業所では月2回の通所が必要でした。事業所によって必要な通所の回数は全然違います。

在宅訓練のメリット・デメリットは?

<メリット>

・昼食を自宅で食べることができるので節約になる
・外の気温や天気を気にして準備しなくていい
・始業時間ギリギリまでだらけることができる
・通勤のストレスがない
・休憩時間中に家事をしたり、ストレッチをしたり、自分のしたいように休むことができる
・自宅が職場なので忘れ物の心配がない
・自分が働きやすい環境で仕事ができる
・人間関係のストレスが減る
・チャットやメールでのやり取りがメインになるので後から話したことが確認できる

<デメリット>

・電気代がかかってしまう
・運動不足になりやすい
・日光を浴びる時間が減るので生活リズムが崩れやすい
・相手が何をしているか分からないので、報告・連絡・相談のタイミングが分かりづらい
・訓練のオン・オフが切り替えづらい
・対面に比べてコミュニケーションがとりづらい

在宅訓練が向いている人は?

自己発信ができる人

通所での訓練だと手が止まったり、困ったりしていると支援員から声をかけてもらえるが、在宅だと気づいてもらいにくいので自己発信ができる人でないと訓練が進まなくなってしまいます。

私は対面だと声をかけるタイミングが分からなくて自己発信があまり得意ではないのですが、在宅訓練だとチャットで相手のタイミングで返事をもらえるので自己発信がしやすかったです。

なので自己発信が苦手な人も在宅訓練だと対面よりハードルが下がるのであまり不安にならずに訓練してほしいです。

文章でのコミュニケーションが取れる人

在宅訓練では、チャットやメールでのやり取りが基本になるので文章から相手の考えを感じ取り、自分の伝えたいことを的確に文章にすることができる必要があります。

ですが、支援員は分からないことがあれば聞いたら丁寧に教えてくれますし、自分の文章で分かりづらいところがあったら「〇〇ということですか?」と聞いてくれます。

なので1回で完璧なコミュニケーションを取ろうと思わずに何回もやり取りしてお互い気持ちのいいコミュニケーションを取れるように訓練で身につけていきましょう。

自己管理ができる人

在宅訓練では、自分のリラックスできる場所・誰からも見えない状態で基本一人での作業になるからこそ自己管理能力が求められます。

だらけてしまう人は訓練がいい加減になってしまうので向いていないです。私はだらけてしまうことはなかったのですが、集中しすぎてぶっ通しで訓練時間が過ぎてからも作業を続けてしまうことがありました。

だらけてしまうのはもちろんよくないですが、集中しすぎもよくありません。私はアラーム音が苦手なので振動だけのアラームのアプリを入れて90分作業したら5分休憩をとるようにしていました。

訓練を通して自分に合った休憩の取り方を見つけていきましょう。

在宅訓練が向いていない人は?

長い間部屋にいたり、一人でいたりすると気持ちが落ち込む人

在宅訓練だと、通所での訓練に比べて外出の機会が減るし、利用者さんとも関わりづらいです。なので長い間部屋にいたり、一人でいたりすると気持ちが落ち込む人には向いていません。

文章を打つのが苦手な人

在宅訓練では、チャットでのやり取りがメインです。私が通っていた事業所では訓練日誌を通所での訓練より細かく書かなければいけませんでした。なので文章を打つのが苦手な人には向いていません。

質問の返事が待ちきれない人

在宅訓練ではチャットでのやり取りがメインなので、返事はすぐに返ってきません。なので質問の返事がすぐに欲しい人には向いていません。

在宅勤務の障害者雇用の求人ってどんな仕事があるの?

在宅勤務の障害者雇用の求人は少ないです。
その中でも実際に求人検索しているときに、よく見かけた在宅勤務の障害者雇用の求人は以下の3つです。

・データ入力
・事務
・カスタマーサポート

実際にそれぞれの仕事の特徴と障害を持っている方が在宅勤務で働きやすいかを考えてみました。

データ入力

・マニュアルがあるので自分で判断しやすい
・人間関係のストレスが少ない
・自分のペースでできる
・時短勤務OK・未経験歓迎の求人が多い

事務

・体に負担が少ない作業が多い
・事務や事務補助の仕事は、どこの企業でも必要とされるもので、障がい者雇用の仕事としても求人が多い

カスタマーサポート

・マニュアルがあるので自分で判断しやすい
・座っておこなう仕事だから体への負担も少ない

まとめ

この3つの仕事はマニュアルが作りやすく、業務を切り出しやすいです。
その人の特性にもよりますが、体への負担が少ないこと、マニュアル通りの対応になることから、障害を持っている人でも働きやすい仕事だということが分かりました。

在宅勤務では、基本的なパソコンスキルとコミュニケーションスキルが必要であるといえます。在宅勤務ではコミュニケーションの必要がないと思われがちですが、
「適切なタイミングで報告・連絡・相談ができるか」
「分からないこと・困ったことがあった時に受け身にならないで自分から聞くことができるか」
「信頼関係が築けるか」
この3つのコミュニケーションスキルは必要とされます。

在宅勤務に必要なスキルは?

【必須スキル】

基本的なパソコンスキル

在宅勤務は基本的にパソコンを使って仕事をするので、基本的なスキルがないと厳しいです。メール、タイピング、Web会議ツール(Zoom、Google meetなど)を使用できるようになりましょう。

コミュニケーションスキル

対面より相手の感情が読み取りにくいので、相手の話をきちんと理解して自分の気持ちを正確に伝えるスキルが必要です。チャットやメールがメインになるのでどれだけ文章から相手の意図を読み取れるか、自分の伝えたいことを文章にできるかが重要です。

ビジネスマナー

オンライン上のやり取りでも、ビジネスマナーを意識した丁寧な対応が必要です。言葉遣いだけでなく、連絡に対してすばやく返答することも求められます。顔が見えないからこそ信頼関係を築くことがとても大切です。

自己管理能力

在宅勤務ではスケジュール管理も作業のペースも、自分で決めなくてはいけません。そのため、在宅勤務するなら自己管理能力は必須です。体調管理も自分でしなければいけません。

【あると便利なスキル・知識】

Webライティング
SEOの知識
プログラミング
Webデザインの知識
デザインソフトのスキル(Illustrator・Photoshop)
Word・Excel・PowerPoint

在宅訓練利用者の事例

①在宅訓練を知ったきっかけ

就労移行支援というサービスを主治医の先生に教えてもらって、そこからさらに自分で調べていくうちに『在宅訓練』というものがあることを知りました。

②在宅訓練をしたいと思った理由

私が在宅訓練をしたいと思った理由は3つあります。
1.外に出るだけで疲れてしまうし、電車が苦手なので通い続けるには不安がありました。月数回の通所でいいなら続けられそうと思いました。

2.コミュニケーションが苦手だけど
文章のやり取りならまだできそうと思いました。

3.飼ってるワンコが寂しがり屋でお留守番の時間が長くなると体調を崩したり 吠えたりしてしまいます。

苦情が来たこともあるし、心配なのであまり長いこと家を空けたくありませんでした。だから将来的に在宅勤務で働きたいという思いがありました。

③在宅訓練を利用するまでの流れ

まず『就労移行支援 在宅』で検索して出てきた通える距離にある事業所全てから資料請求しました。

次に気になる事業所をピックアップして1個ずつ面談と体験をしました。

1つ目は支援員の方との合わない感じがしたのと、在宅訓練と通所訓練でのクオリティに大きな差が出ると言われたので1回の面談でここはやめておこうと思いました。

2つ目は面談後、3回分訓練の体験をしたのですが、3回目の訓練の体験後の面談の時に「在宅訓練は可能だが通所がメインで週3回は通所できないと利用してもらうのは厳しい」と事業所側から断らました。

3つ目に自分の希望に合う在宅訓練がメインの事業所を見つけることができました。

●入所する事業所が決まってからしたこと
・受給者証の発行の手続きをするために役所に行きました。
・受給者証が発行されるまでの約1か月間は週1で訓練の体験していました。

・貸出のパソコンは支援員が最寄り駅まで届けてくれました。
・利用開始時は手続きの関係で何回か通所する必要があったので、道に迷わないように何度もマップを確認しました。

④在宅訓練ではどんなことをしたか

在宅訓練ではビジネスマナーや自己理解のプログラム、Eラーニングを視聴しながら自習、支援員とビジネスメールの練習をした。はじめは週2の訓練から始め、プログラムを見学していました。

大人数で話すのが苦手でプログラムは
【見学→チャットで発言→プログラム初めの雑談のみ発言→プログラム中に発言】
と段階を踏んで参加しました。

訓練前と訓練後は毎回チャットで体調面・精神面、訓練内容、睡眠時間を報告しました。訓練後はWeb会議ツールを使って支援員と訓練の振り返りをしました。振り返りではだいたいは訓練内容を詳しく話して終わりですが、悩みや分からないことがあるときはそのことについても話をします。

支援員と普段から就職への希望を話していたことで、支援員が在宅勤務の求人を「〇さんのしたい仕事内容とは違うけどそれ以外の条件がすごいあっている」と教えてくれました。私は就職への1番の希望は在宅勤務ができることだったので、すぐその会社に応募しました。

今ではその時教えてもらった求人の会社で、完全在宅勤務でマーケティングの仕事をしています。

⑤在宅訓練をしてみてよかったこと

実際に話すと言いづらいこともチャットだと伝えやすいこと、後から会話を見返せることがよかったです。私は人と話すのが苦手で、緊張しながら話をしているので話が終わると何を話したのか全く覚えていないことがあります。なのでチャットで考えながらやり取りできること、後から会話を見返せることは助かりました。

プライベートの時間も多く取れたのもよかったです。昔アルバイトしていたときは、疲れて家のことには手が回らなくて食事も適当、趣味もやる気がでなかったです。だけど在宅訓練は自分がリラックスできる場所でできるし、外にも出ないので通所に比べて疲れが少ないです。なので家事もできるし食事もきちんととることができます。趣味の時間も楽しむことができました。

⑥在宅訓練をしてみて悪かったこと

企業での職場実習の話が出ましたが、在宅で参加できる実習が少なかったです。仕事内容もプログラミングばかりでした。在宅で参加可能な色々な仕事内容の職場実習が増えてほしいです。

実際の仕事に近い訓練も受けてみたかったです。書類作成のプログラムがありましたが、問題通りに書類を作るだけでした。

【ビジネスメールで仕事を受ける→書類作成→完成したものをビジネスメールで送る】という感じで実際の仕事の流れをイメージしやすい訓練があればよかったです。

⑦在宅訓練をして感じたギャップ

在宅訓練を始める前は、常に監視されるんじゃないかと思っていたけど実際はそんなことありませんでした。仕事になると監視のソフトを入れられたり、常にカメラをつけての仕事だったりするところもあります。

支援員との関わりがメインになるので、利用者さんと悩みの共有をしたり意見交換したりのコミュニケーションがとりづらいです。

在宅訓練は楽なイメージがあるけど、訓練終了時の報告でサボっていたらばれてしまう。

チャットでの連絡がメインなので変化に気づいてもらえないと思っていたけど、訓練終了時のビデオ通話で些細な変化にも気づいてくれて通所時と変わらないサポートが受けられていると感じました。

最終的に自分が希望している仕事で在宅勤務で働くことは可能なの?

在宅勤務の求人は出社の仕事に比べて少ないからこそ、業界・職種にこだわらず幅広い選択肢を持つこと、働く上で自分が求めるものに優先順位をつけることが大切です。

【仕事を選ぶ優先順位の例】
・業界・職種
・給与
・完全在宅
・在宅・出社併用の場合の出社頻度、通勤時間
・雇用形態
・シフト制、固定休
・福利厚生

事業所を選ぶ時のポイントは?

私が実際に事業所を選んだ時のやり方

①【就労移行支援事業所 在宅】で検索して出てきた通える距離にある全ての事業所から資料請求をする

②その中から気になる事業所をピックアップし順番に見学・体験

③面談時に自分の希望を伝える
「できるだけ在宅訓練メイン
「パソコンを持っていないので、貸出してほしい」

④自分の希望が通った事業所の訓練を体験してみる
訓練の環境、支援員との相性で事業所を1つに絞る

【事業所を選ぶポイントの例】

事業所への定期通所の回数
パソコン・ネット環境がない場合は、それらの機器の貸し出しは可能か
学びたいものがはっきりと決まっている場合はそれらを学ぶことは可能か
支援員と相性がいいか
事業所の支援実績を見る
通所時に負担にならない場所に事業所があるか

在宅訓練に求めるもの

実際に私が在宅訓練してみてこうなったらいいなと思ったことについてお話します。

①在宅勤務のイメージがしやすくなるように、丸一日使っての就労模擬体験の訓練を取り入れてほしいです。

②もっと在宅訓練ができる就労移行支援事業所が増えてほしいです。特に専門スキル特化型の事業所は、ITと在宅訓練の相性がいいはずだから在宅訓練を取り入れてほしいです。

③在宅訓練ができるというのをサイトで見て問い合わせしたのに、実際は通所がメインということがありました。
なのでサイトにその事業所の在宅訓練について詳しく書いておいてほしいです。(※在宅訓練メインで利用できるのか、月の通所の必要回数)

まとめ

長い記事でしたが、ここまでお読みいただきありがとうございます。

この記事では、就労移行支援の在宅訓練について一通りの説明をしました。

「在宅訓練ならできそう、やってみたい!」と思った方は、事業所を探してみましょう。

お役に立てたら嬉しいです。
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