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就労移行支援と就労継続支援の違いは?メリットデメリットをわかりやすくに解説

2023.11.06

「就労移行支援と就労継続支援ってなにが違うの?A型・B型ってなに?」
「就労支援を利用したいのにどれを利用すればいいか分からない!」
こんな風に困っていませんか?

この記事では
「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」
3つの就労支援について詳しくお話していきます。

3つの『就労支援』の特徴

3つの『就労支援』の目的


女性・20代

そもそも一般就労ってなあに?

マナビーくん
マナビーくん

企業で働くことを一般就労、継続支援A型・B型で働くことを福祉的就労と言うんだ。

●就労移行支援
一般就労を希望とする人を対象に、就職のためのスキルを身につけるのが目的です。パソコンスキルやコミュニケーションスキルなどの仕事に必要なスキルを身につけることができます。就職サポートも充実しています。

●就労継続支援A型・B型
2つとも今は一般就労に不安がある、または困難な人を対象に、働く場を提供することが目的となっています。

A型は雇用契約を結んで働くので一般就労の障害者雇用に近いです。

B型はA型よりも簡単な作業を用意されることが多いです。事業所の数が多いので自分に合った作業ができる事業所を探すことができます。

就労移行支援は最初から一般就労を目指している人におすすめです。

就労継続支援A型は安定して働くことができる人が利用すると一般就労に近い形で働くことができ、就労継続支援B型は自分のペースで働くことができます。

雇用契約とは?

企業が労働に対して報酬を支払うことを約束する契約を「雇用契約」と言います。労働保険や社会保険の加入や有給休暇の取得、企業からの一方的な解雇の禁止など、労働法上の保護を受けることができます。

A型は雇用契約を結んで働くので、最低賃金の保証がされ、有給休暇も発生します。

また、社会保険加入の義務もあります。A型の場合、基本的に1週間の労働時間が20時間以上になるので、「労災保険」「雇用保険」に加入することができます。雇用保険に加入することで、離職時に失業等給付を受けられます。

雇用契約を結ぶA型は一般就労と同じように決められた通り勤務する必要があるので、自分のペースで働きたい人はB型がおすすめです。

最低賃金とは?

国が定める賃金の最低限度額のことで都道府県ごとに時間額で決められています。最低賃金は年齢、職種、働き方関係なくすべてに適用されます。

【例】東京都の最低賃金 時間額1,113円 令和5年10月現在

A型・B型の賃金(工賃)の差の理由

A型では雇用契約を結ぶことで最低賃金以上の給与を保証されます。時給に働いた時間を掛けた給与から支払う保険料や税金などを引いた額が利用者に支払われます。

B型では雇用契約を結ぶ必要がないので最低賃金が適用されません。利用者が受け取る労働の対価は「賃金」ではなく「工賃」と呼びます。例えばパンを作る事業所だと、パンの売上からパンの材料費などを引いた額を工賃として利用者に支払われます。

A型は最低賃金以上の時給制です。B型は最低賃金が適用されない出来高制です。

利用年齢は?

・就労移行支援の利用年齢は原則 18歳から65歳未満
・就労継続支援A型の利用年齢は原則 18歳から65歳未満
・就労継続支援B型の利用年齢は原則 18歳以上

就労移行支援と就労継続支援A型では利用年齢が原則 18歳から65歳未満、就労継続支援B型では原則 18歳以上となっておりますが、利用年齢に当てはまらない人でも特例で利用できることがあります。

利用時間、利用日数、休日は?

就労移行支援は1日の利用時間は2〜6時間、利用日数は週1〜5日です。土曜日でも開所している事業所が多いです。

就労継続支援A型は1日の利用時間は3~6時間、利用日数は週3〜5日です。A型のみ雇用契約を結ぶので有給休暇がもらえます。

就労継続支援B型は1日の利用時間は1~6時間、利用日数は週1〜5日です。利用できる時間と日数の幅が大きいので自分のペースで働きやすいです。

事業所によって必要な利用時間・利用日数と休日は違います。直接、気になっている事業所に確認することをおすすめします。

3つの『就労支援』の訓練内容・作業内容

3つの就労支援の主な訓練内容・作業内容を紹介します。

就労移行支援
・PCスキル
・コミュニケーションスキル
・ビジネスマナー
・職場体験実習
・就職活動


就労継続支援A型
・データ入力
・調理補助
・清掃業務
・カフェやレストランでの接客
・農作業
・梱包作業


就労継続支援B型
・データ入力
・部品の加工
・清掃業務
・商品の梱包・発送業務
・農作業
・手工芸
・調理補助

就労移行支援では一般就労のための訓練内容が多いです。
PCスキルも就職するためには大切ですが、就職して長く働き続けるために良好な人間関係が築けるようにコミュニケーションスキルとビジネスマナーの訓練に力を入れている事業所が多いです。

就労継続支援A型は一般就労と業務内容があまり変わりませんが、1日の働く時間は一般就労よりも短いことが多いです。

就労継続支援B型は軽作業が中心です。一緒に作業をする利用者で細かく分担し、さらに担当の職業指導員や生活支援員がついた上で、一緒に作業を進めていくことが多いです。

A型とB型は似たような作業内容が多いように見えますが、細かい部分に違いがあります。

例えば調理補助の作業だと、
A型は仕込みから盛り付けまで一通りの作業をします。
B型は仕込みから盛り付けまでの作業を細かく分けて、その中から自分に向いている作業を担当します。

3つの『就労支援』の事業所の数

事業所数は就労移行支援B型が圧倒的に多いです。
就労移行支援A型の約5倍の事業所数です。

事業所数を見て「なぜA型が少ないのか?なぜB型が多いのか?」考えてみました!
[出典]障害者福祉施設における就労支援の概要

なぜ就労継続支援A型が少ないの?

A型は雇用契約を結ぶ必要があるので、最低賃金以上の支払いが発生します。そのため固定費+人件費以上の売り上げを続けないと赤字になります。

全ての事業所に安定した取引先があるわけではないので運営が難しいです。運営の難しさからA型は数が少ないと考えられます。

A型は雇用契約を結んで働くので一般就労に近いです。今後、障害者雇用が充実するにつれて事業所数がさらに減っていくと考えられています。

なぜ就労継続支援B型が多いの?

B型が多い理由は運営がしやすいからだと考えられます。
B型は利用できる人の幅が広いです。就労移行やA型と違って利用年齢に制限がありません。利用者数が安定しやすく事業も安定しやすいです。

B型はA型と違い雇用契約を結ぶ必要がないので、最低賃金以上の給与を払う必要がないこと、用意する作業が自由なことで運営がしやすいからだと考えられます。

最低賃金以上を払う必要がないので仕事の利益を考えず作業を用意することができます。

3つの『就労支援』のメリット・デメリット

移行支援のメリット・デメリット

メリット
・就職へのサポートが手厚い、就職後も定着支援がある
 ⇒一般就労を目指している人は安心して利用できる
・色々な訓練が受けられる
 ⇒自分が働きたい仕事のためのスキルを身につけることができる
・就職率や定着率が1番高い
 ⇒一般就労を目指している人は安心して利用できる


デメリット
・収入がない
 ⇒家族のサポートや、貯金がないと生活が厳しい
・利用期限がある(原則2年)

就労移行支援は就職サポートが充実しているので一般就労を目指している人におすすめです。

就職前は模擬面接・職場体験実習、就職後は定着支援で定期的な面談や支援員が勤務先との連絡調整を行うなど就職に関して様々なサポートをしてくれます。

訓練ではPC関連のスキルの他にも、コミュニケーションスキルやビジネスマナーを身につけることで勤務先でも良好な人間関係を築きながら働くことができます。

継続支援A型のメリット・デメリット

メリット
・障害への配慮をしてもらいながら働くことができる
 ⇒一般就労が難しい人でも配慮してもらうことで働きやすい
・毎月安定した給与がある
 ⇒就労継続支援B型と比べると稼げる
・有休がある


デメリット
・就職率や定着率が高くはない
 ⇒一般就労を目指している人にはマイナス
・就職サポートはあまりしてもらえない
 ⇒一般就労を目指している場合は自力で頑張らないといけない

就労継続支援は安定して働くことができるけど一般就労は不安という方におすすめです。

就労継続支援A型は勤務時間以外は一般就労とほぼ変わりがない働き方です。しかし、生活支援員などのスタッフがいることで一般就労に比べて障害へ配慮してもらいながら働くことができます。

一般就労に不安がある方は、まずは就労継続支援A型に通うことから始めてみるのがおすすめです。

継続支援B型のメリット・デメリット

メリット
・体調に合わせて通所ができる
 ⇒事業所によっては週1からの通所で訓練することができるので働くことに不安がある人でも働きやすい
・工賃がもらえる
・事業所の数が多い
 ⇒たくさんある事業所の中から自分に合った作業内容の事業所を選べる
・65歳以上の方も利用できる
 ⇒A型を利用できない人も利用できる


デメリット
・就職率や定着率が高くはない
 ⇒一般就労を目指している人にはマイナス

就労継続支援B型は自分のペースで働きたい方におすすめです。自分の体調に合わせて少ない日数から通うことができるので働くことに不安がある人でも働きやすいです。

事業所数が多いので自分に合った作業内容や雰囲気の事業所が見つかりやすいです。

事業所によっては色々な系統の作業ができるところもあるので、自分に何が向いているか分からない人は通いながら自分に向いている作業を見つけることができます。

3つの支援に共通したメリットは、障害に配慮をしてもらいながら通うことができて社会復帰のきっかけになります。

3つの『就労支援』に向いている人・向いていない人

就労移行支援

就労継続支援A型

就労継続支援B型

就労移行支援と就労継続支援B型の併用は可能か


女性・20代

就労移行支援と就労継続支援B型は併用はして使えるの?

マナビーくん
マナビーくん

就労移行支援と就労継続支援B型の併用は基本的にはできないよ。
ただ併用ではなく、就労継続支援A型・B型から就労移行支援へ変更して一般就労を目指したり、
就労移行支援を利用して自分には合っていないと感じて就労継続支援に変更するという利用の仕方はできるよ。

自分に合った就労支援の選び方

一般就労を目指していて、通所中に収入がなくても生活できる人は就労移行支援がおすすめです。
就労移行支援では就職サポートが充実しており、一般就労が目標の人が通う所です。
就労移行支援に通っている間は収入がないので、それでも生活ができる人でなければ通うことが難しいです。

一般就労へは不安があるけど、週3〜5日安定して働くことができる方は就労継続支援A型がおすすめです。
一般就労と就労継続支援A型は労働時間の長さがA型のほうが短い以外ほぼ変わらない働き方で一般就労より障害に配慮してもらいながら働くことができます。

自分のペースで働きたい方は就労継続支援B型がおすすめです。
就労継続支援B型は週1回、短時間での利用が可能な事業所があるので自分のペースで働くことができます。たくさんの日数で長時間利用することもできるのでまずはB型で作業に慣れてからA型に移行するという使い方もできます。

一般企業に就職しやすいのは

就労移行支援は利用者数が1番少ないのに関わらず、1年間の就職者数がA型・B型の約3倍です。
就労移行支援は一般就労を目指す方が利用対象なので就職サポートが充実しています。

就労継続支援A型・B型は一般就労が難しい方に就労の機会を与えるサービスがメインなので就職サポートが充実しているとは言えません。
なのでを目指している人は就労移行支援を利用するのがおすすめです。

【就労移行支援で受けられる就職サポートの例】
・応募書類作成のアドバイス
・面接対策
・職場体験実習

就労移行支援では就職のための準備から就職後の定着まで、安定して長く働き続けることができるようにサポートが受けられます。
[出典]障害者の就労支援について

選ぶのに困ったときサポートしてくれるサービス

●心療内科で主治医の先生に聞くのがおすすめです!
主治医の先生は普段の様子を見てくれています。相談をすればどのような就労支援があるか、なにが向いているか適切なアドバイスをして一緒に考えてくれます。

●通院をしていない人はまず役所の保健福祉課で相談をしてみることをおすすめします。
保健福祉課は地域住民の生活を援助するための相談機関です。こころの病や障害について相談にのってくれます。

他にもこのようなサービスがあります。

・相談支援事業所
生活で困りごとがあるときや福祉サービスを利用するときに相談できる窓口です。都道府県や市町村が指定をした「相談支援事業所」でも無料で相談することができます。

・就労選択支援(仮)
障がい者の希望やスキルに合う仕事探しを支援するサービスです。この新たなサービスは、2025年までをめどに開始される予定です。
今までは利用者本人が自分で事業所を探す必要がありましたが、このサービスができることによって利用者の作業能力や集中力を前もって把握することができます。それにより自分に合ったサービスを選ぶことができます。

3つの『就労支援』の利用の流れ

①事業所を探して問い合わせ
自分の希望に合った事業所を探して、自分が利用対象であるか問い合わせをします。その時に見学や体験の申し込みができそうであれば申し込みしておくと何度も連絡する必要がありません。

②見学・体験・面接
利用の前に見学や体験をして事業所の雰囲気や訓練(作業)内容が自分に合っているか見ます。体験は2~5回まで可能な事業所が多いです。
就労継続支援A型はこの時に面接をします。履歴書が必要です。

③利用の手続き
役所で受給者証の申請や利用前面談・利用計画の作成などを行います。

④受給者証発行
受給者証発行までは市区町村や利用を希望するサービスの種類によってもさまざまですが、申請から支給決定まで約2週間、もしくは1〜2ヶ月かかるとしている自治体もあります。

⑤利用開始
利用計画に沿って、事業所の利用を始めます。

大まかな流れに加えてA型は面接の前にハローワークの紹介状を発行してもらう必要があります。
細かいことは各就労支援の人たちが、詳しく説明してくれるので心配はいらないです。

利用開始までかかる期間は自治体によって変わりますが、約2か月です。
2か月より早く利用できる場合もありますし、自治体によっては2か月以上かかってしまうこともあります。

就職後の定着率の違い

職場定着率は就労移行支援が一番高いです。
なぜなのか考えてみました!

就労移行支援は、就職後のサポートが充実しているからです。就労移行支援を経て就職した場合、就職後6カ月間は『職場定着支援』が半年間受けられます。
『職場定着支援』とは!
就労先で長く働き続けられるように支援する福祉サービスのことです。
【職場定着支援の例】
・定期的な面談
・業務理解、効率化
・生活リズムの改善

職場定着支援では支援員が利用者の生活リズムを整えてくれたり悩みや困ったことがあれば話を聞いてアドバイスをくれます。就職した企業とも連絡をとり、利用者が働きやすい環境を作ってくれます。

就労移行支援を経て就職していないけど定着支援を利用してみたいという方に!
『就労定着支援』というものがあります。

利用対象者は、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、生活介護、自立訓練サービスを経て一般就労をした方です。

就労定着支援の利用期間は最長3年間で1年ごとに支給決定期間を更新します。就職後7ヵ月目から就職後3年6ヵ月目まで利用が可能です。

職場定着支援と同じく就労先で働きやすくなるようにお手伝いをしてくれます。
具体的なサービスは事業所によって違うので気になる方は問い合わせてみることをおすすめします。
[出典]障害者の就業状況等に関する調査研究

まとめ

最後に
「就労移行支援」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」
この3つの就労支援がどんな人に合っているかまとめてみました!

一般就労を目指している方は就職サポートが手厚い就労移行支援が良いでしょう。

一般就労には不安があるけどがっつり働きたい方は就労継続支援A型が一般就労に近い働き方ができます。

自分のペースで働きたい方は利用日数が週1〜5日と幅広い就労継続支援B型を利用することで自分に合った働くペースを見つけやすいです。

実際に気になった事業所に話を聞いてみることをおすすめします。
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