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【パニック障害経験者117名に調査】症状が出やすい状況と周囲が取るべき対応とは?

2024.08.22

パニック障害とは、ある日突然、強い不安や恐怖を感じる病気です。

身体の病気はないのにも関わらず、急に息苦さ、動悸などの発作が繰り返し起き、「また発作が起こるのではないか・・・」という不安で、日常生活に支障が出てきてしまいます。

では実際にパニック障害に困っている人はどのような症状が最も辛く、発作が出やすいのはどんな時なのでしょうか。

今回はパニック障害経験者117名に「パニック障害の症状」について調査しました。

また今回は「パニック発作が起きた時、周囲にどんな対応をしてほしいか」、当事者側の本音も伺いました。

アンケート概要

調査内容:「パニック障害の症状」に関するアンケート調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年7月11日~2024年7月25日
調査人数:117名(男性44名 女性73名)
年代:10代(2名)・20代(31名)・30代(41名)・40代(22名)・50代(18名)・60代以上(3名)

質問事項
1. 年齢を選択してください。
2. 性別を選択してください。
3. 最も辛い症状は何ですか?
4. 最もパニック発作が出やすいのはどんな時ですか?
5. 詳しいエピソードを教えてください
6. どのくらいの期間で症状は落ち着きましたか?
7. パニック発作が起きた時、周りにどんな対応をしてもらいたいですか?

最も辛い症状:第1位「息苦しい」

■最も辛い症状は何ですか? 
1位:息苦しい 36票(30.8%)
2位:動悸 26票(22.2%)
3位:死ぬのではないかという恐怖 14票(12.0%)
4位:吐き気 12票(10.3%)
5位:めまい 9票(7.7%)
6位:発汗 7票(6.0%)
7位:胸の痛みや不快感 5票(4.3%)
8位:ふるえ 3票(2.6%)
9位:ほてり・のぼせ 2票(1.7%)
10位:寒気 1票(0.9%)
・その他 2票(1.7%) 
※少数点第2位以下は四捨五入


パニック障害で1番辛い症状、第1位「息苦しい」、2位「動悸」、3位「死ぬのではないかという恐怖」が続きます。

特に上位3つは、呼吸や心臓の異常という命に関わるような症状や、死への強い恐怖感など、自分の生命の危機に関連していることが挙げられています。

最もパニック発作が出やすい時は「乗り物の中」

■最もパニック発作が出やすいのはどんな時ですか 
1位:乗り物の中(電車、バス、車など) 34票(29.1%)
2位:ストレスを感じている時(上司に怒られたなど) 33票(28.2%)
3位:過去を思い出した時(フラッシュバック) 13票(11.1%)
4位:トラウマがある場所(会社など) 10票(8.5%)
5位:人混みの中(ショッピングモールなど) 7票(6.0%)
6位:1人でいる時 7票(6.0%)
7位:待ち時間がある場所(病院、美容室など) 4票(3.4%)
8位:狭い空間(エレベーター、トイレなど) 3票(2.6%)
9位:特定の時間帯(朝、昼、夜) 3票(2.6%)
・その他 3票(2.6%) 
※少数点第2位以下は四捨五入


最もパニック発作が出やすい時、第1位「乗り物の中」、2位「ストレスを感じている時」、3位「過去を思い出した時」と続きます。

特に電車やバス、車などの逃げ場はない環境がパニック発作になりやすいことが分かりました。

また上位3つからも分かるように、パニック発作が出るのは特定の状況や場所に関連し、生活と密着しているため、すぐに改善するのは困難なようです。

では実際にパニック発作が起きた際のエピソードを見ていきましょう!

第1位「乗り物の中」


女性・20代

電車を利用して1人で外出中に、駅のホームで中年くらいの女性が目の前で倒れられて嘔吐されている現場を目の当たりに、嘔吐恐怖症もあるのでその光景をみた時、周りにほとんど人はいなく誰も助けにくる感じもなく1人で怖くなりパニック発作の息苦しさやめまいがおき私も死んでしまうのではと思ってしまった。


女性・20代

15分以上停車しない特急電車に乗った時に、気分が悪くなるとどうしようと少しでも思ってしまった瞬間、汗が止まらなくなり、ドキドキと動悸がし、目の前が白く明るくなり口を抑えていないともどしそうなくらい気持ちが悪くなり、そのまま視界がブラックアウトしかけ、そのまま耐えて何とか停車駅のベンチに座り遠くを眺めていました。こんなことが特急電車に乗る度に起こっているので、高校生の頃は、電車に乗るのが怖くなり学校に行けなくなったり、しました。
それ以外にも1人で外出するとその時の苦しさを思い出し不安になってきて汗が吹き出してきて気持ち悪くなってしまうので、外出する時は母親の付き添いがないと出来なくなりました。


男性・20代

通勤時に満員電車で嘔吐してしまい、それ以来電車に乗ると動悸と吐き気が起こるようになった。人の存在と密室空間が苦痛のようで、バスなのでも同様の症状に襲われるようになった。

昔の恐怖経験が皮切りとなり、パニック発作が起こる方が多くいらっしゃいました。

「パニック発作が起こってしまう」という不安から今では家族の付き添いや家族の車にしか乗れないと、パニック障害によって行動を制限せざるを得ないことも分かりました。

第2位「ストレスを感じている時」


男性・20代

SNSでモラハラ等に関する投稿を見ると、過去付き合っていた彼女にモラハラされていたことを思い出し震えが止まらなくなる。


女性・30代

過去に発作が出た場所や同じような環境、ストレスや怒りを感じた時、身動きが取れない状況(人が多い場所や列に並んでいる時やバス・電車の中、車を運転中の右折レーンで止まってしまった時)などに発作が起きます。息苦しくなり、頭から血の気が引いていき、頭がザワザワしたりサーっとなったり、手が震えたり、とにかく落ち着きをなくします。色々自分なりに対処法やパニック障害について死ぬことはない病気だということはわかっているけど、頭がざわつくのは耐えられないし、一度不安になるとなかなか落ち着かない状況に耐えられない。人としゃべっている時は途中から何を言っているかわからなくなるし、それ以上会話を続けられない時もある。何とか気を紛らわせようとウロウロしだしたり、自分の手や足を叩いたりする。


男性・30代

仕事のミスについて、上司から叱責を受けた時に、激しい動機と大量の発汗、足に力が入らなくなり、しばらくその場から動けなくなりました。

過去のトラウマや仕事のミス・予期せぬトラブルなどのストレスを感じている時に、パニック発作が起こるという方が多数。

パニック障害は命に関わるものでないと分かっていても、「また発作が起きるのではないか」という不安や恐怖を感じ、さらに発作を起こしやすくなるという悪循環を生んでいるようでした。

第3位「過去を思い出した時」


女性・30代

過去に経験したことと似たようなニュースが流れてくると、過去の出来事が鮮明に思い出されて、目の前が暗くなり、思い出さないようにすることに集中すると余計に思い出してしまうというループに陥り、意識が朦朧としたり、吐き気に襲われる。


男性・30代

高速道路で事故にあって以来、高速道路の運転を怖くてしていないのですが、バイパスレベルの大きな道路でも時にパニック障害が発症してしまいそうになります。動悸や震えが出てしまいます。


女性・20代

中学生や高校生など、いじめられていたり理不尽なことで怒られた時のことを思い出したとき息苦しさが非常に苦しくなってつらいです。また、倒れるかもしれないほど頭がクラっとします。

テレビのニュース等、外部からきっかけやストレスが溜まった時に過去の嫌な記憶がフラッシュバックして、パニック発作が起こるという方がいらっしゃいました。

またパニック発作が起こることで、さらに過去の出来事しか考えることができず、気が動転してしまうというエピソードもありました。

4割以上が現在もパニック障害に苦しんでいる。

■どのくらいの期間で症状は落ち着きましたか
1位:現在も落ち着いていない 51票(43.6%)
2位:3ヶ月以上~半年未満 20票(17.1%)
3位:1ヶ月~3ヶ月未満 14票(12.0%)
3位:1年以上~3年未満 14票(12.0%)
4位:半年以上~1年未満 9票(7.7%)
5位:3年以上~ 9票(7.7%)
※少数点第2位以下は四捨五入


「現在も落ち着いていない」が43.6%で1番多く、2位に「3ヶ月~半年未満」、3位「1ヶ月~3ヶ月未満」「1年以上~3年未満」と続きます。

4割以上の方は現在もパニック障害に苦しんでいるから、長期間にわたってパニック障害が続いていることが分かります。

また症状が落ち着いた人の中でも落ち着くまでの期間が人によって大きく異なるため、自分に合った治療法を見つけることが重要なようです。

周りにどんな対応をしてほしいか聞いてみた!


男性・30代

何も言わずに寄り添っていて欲しいです。声をかけられた場合、対応しないといけないというストレスがまた起きてしまうので無言が一番です。


女性・20代

聞こえ方もおかしな感じになっているため、むやみに話しかけずそっとしていてほしい。呼吸がおかしかったり震えがあったりするときは、背中を優しくさすってほしい。もしあれば、パルスオキシメーターをつけてもらえると、息ができていることが客観的にわかるのでありがたい。


女性・20代

冷たい目でみるのではなく優しく声をかけてほしいです。人からみられにくいように背後に立って隠してもらったことがありすごくありがたかったです。


女性・30代

どうしたの?何が起きてるの??と大袈裟に騒がず、見守るか平常を装って欲しい。落ち着きを取り戻したら、寄り添って共感してもらえたら助かる。


男性・30代

できるならば、さりげなく人の少ない場所に連れて行ってもらい、あとは適当に過ごして欲しい。あまり気にしてないけど、さりげなく助けてるよ感、が1番ありがたい。


男性・20代

特別な対応をしてほしいと思わないので、過呼吸が収まるまで気にしないでいて欲しいです。


男性・20代

もし、外出際に起きてしまったりしたときは1人にしてほしいです。誰もいない場所を探しそこに行きたいです。できるだけ、大勢の人で対応してほしくはなく、1~2人で対応してほしいです。
水など薬が飲めるようにしてもらえるとありがたいです。

「特に何もしないでほしい」という方もいれば、「声はかけてほしいが、大事にはしないでほしい」という方が多くいらっしゃいました。

どんな対応をしてほしいかは人それぞれなので断言はできませんが、もしパニック発作を起こしている方に遭遇した場合は「人の少ない場所に誘導し、落ち着くまで静かに見守る」という対応をとることが良さそうです。

また「大丈夫?」と声をかけるのではなく、「どうしたのですか?」と症状を聞くのがよいかもしれません。

もしヘルプマークをつけている場合には、ヘルプマーク書いてあることに沿った対応しましょう。

まとめ

パニック障害を経験した方、117名に調査したところ

① 最も辛い症状「息苦しい」「動悸」「死ぬのではないかという恐怖」
② 最もパニック発作が起こりやすい時は「乗り物中」「ストレスを感じている時」「過去を思い出した時」
③ 4割以上が現在もパニック障害に苦しんでいる


この結果から、多くの人がパニック発作による不安を抱えており、現在もその苦しみを抱えていることがわかります。

パニック発作が命に直接関わらないと理解していても、呼吸や心臓の異常から恐怖を感じ、「また発作が起こるのではないか」という不安や「周りに迷惑をかけてしまう」という申し訳なさが、症状を悪化させることもあるようです。

パニック発作で苦しんでいる人に遭遇した場合には、多くの人で対応するのではなく、2~3人程度で人の少ない場所に誘導し、飲み物を提供するなどして、静かに寄り添うことが大切です。
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