うつ病経験者179名アンケート。仕事で困ったこと第1位は…『対人関係』
「体調が悪くてまた休んでしまった…」
「しんどいけど職場に言いにくい…」
などの仕事に関する悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
今回はうつ病・うつ病経験のある方179名を対象に、実際にどんなことで困ったのか、その困りごとは解決したのかを調査しました。
アンケート概要
調査内容:「うつ病の方が仕事で困ったこと」に関するアンケート調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年08月16日~2023年08月29日
調査人数:179人
対象者 :うつ病・うつ病経験のある方
1. 年齢を選択してください
2. 性別を選択してください
3. 障害者手帳をお持ちですか?
4. 仕事で最も困ったことはなんですか?
5. 具体的にどんなことに困ったか記入してください
6. その悩みは解決しましたか?
7. 自分の症状や特性を職場(チームや上司)に伝えましたか?
8. その理由を教えてください
アンケート属性は次の通り。
■性別
・男性 81名(45.3%)
・女性 98名(54.7%)
■年代
・10代 1名(0.6%)
・20代 34名(19.0%)
・30代 66名(36.9%)
・40代 49名(27.4%)
・50代 26名(14.5%)
・60代以上 3名(1.7%)
障害者手帳を持っている方はわずか17%
・持っている 31票(17.3%)
・持っていない 148票(82.7%)
障害者手帳を「持っている」と答えた方はわずか17.3%でした。うつ病の症状があっても障害者手帳を取らずに生活している方が多いことがわかります。
仕事で困ったこと第1位は「対人関係」
1位:対人関係 61票(34.1%)
2位:体調管理が難しい 42票(23.5%)
3位:仕事内容 26票(14.5%)
4位:まわりに相談できる環境がなかった 15票(8.4%)
5位:職場環境 11票(6.1%)
6位:通勤 10票(5.6%)
7位:休みが取りにくい 9票(5.0%)
その他 5票(2.8%)
※小数点第2位以下は四捨五入
やはり「対人関係」の困りごとが1位という結果に。続いて「体調管理が難しい」が23.5%、「仕事内容」が14.5%でした。具体的にどんな困りごとがあったのか見ていきましょう。
1位:「対人関係」の困りごと
女性・30代
本当は何を思っているのか裏を考えてしまい、上手く話せずコミュニケーションが取れなくなってしまった。
バカにされているように感じてその人がいるだけでドキドキしたり、怖くなったり、様子を伺って動くようになったりして本来のパフォーマンスができなかった。人間不信になってしまった。
男性・20代
無理難題なことばかり要求されて、それが出来ないと怒られる、でもやる気が全然出ない、自分は出来ない奴なんだと思いメンタルがえぐられるのループになった。
男性・30代
うつゆえにコミュニケーションをとる意欲がわかず方法も限られてしまい、職場内での意思疎通に苦労しました。
2位:「体調管理」の困りごと
男性・30代
夜眠れないため、疲れが取れず朝方にようやく眠くなるので起床時間になってもなかなか起きることが出来ず、仕事を休むことが多かった。
女性・30代
朝出勤前にふとした不快感を感じ、「今日一日仕事をやりきれるだろうか?」と不安感が頭をよぎるともうダメで、仕事に行けなくなる日が多々ありました。
男性・20代
特に朝に猛烈に強いうつ症状となり起き上がることができなくなり休むことがあった。罪悪感が強く、うつが悪化する負のループに陥っていた。
3位:「仕事内容」の困りごと
男性・30代
複数の仕事を同時にこなすマルチタスクや複雑な窓口対応が苦手であるのに、それらの仕事をどんどんやらされてしまうこと。
女性・30代
常に頭が働かずぼーっとしてしまい、仕事が覚えられなかったりミスが多かったりする。
女性・20代
仕事でのミスが多くなって来た為、軽作業に回されてしまいました。
4位:まわりに相談できる環境がなかった
男性・30代
自分が障害者雇用であることは広く周りに知らせておらず、直属の上司しか知りません。しかし、その上司があまり病気に理解がなく、困ったことを相談するなら人事になってしまいます。人事は全社のいろいろな業務に忙殺されており、相談するのは申し訳ない気がして、結果のところ誰にも相談できませんでした。
女性・30代
相談をしても否定的な事しか言われなかったので、余計に気持ちが塞ぎ込んでしまいました。
女性・20代
周囲を疑ってしまい、うまくコミュニケーションを取りにくい状況だった。
職場に自分の症状や特性を伝えているか伝えていないかによっても、相談のしやすさは変わってきそうですね。
5位:「職場環境」の困りごと
女性・20代
日によって周囲の音などを知覚する感覚に波があり、敏感な時は我慢が難しいほど気になる日がある。
女性・20代
騒がしい環境だったので、落ち着いて業務に集中できず、ワイワイガヤガヤと雑談が止まらず、常に電話がひっきりなしの状態でてんやわんやな状態で、頭痛やパニックになってしまった。
おしゃべりしながら仕事ができる人達の中だったので、静かに仕事をしたい自分には合わず、おしゃべりしないと仕事にならないし、なんなのと言われてしまったこともあり、話しながら仕事をするのが苦手な自分には心身共に苦しかったです。
男性・20代
デスクでパソコン操作をしているときに、背後に人がいるとかなり気分的にきついのですが、座席上、うしろにも人がいる状態だったので常に気が休まらなかったです
在宅で仕事をする場合に比べて、まわりの音はコントロールできない部分が大きいので辛いですね。
職場に自分の症状は伝えるべき…?
・伝えた 94票(52.5%)
・伝えなかった 85票(47.5%)
※小数点第2位以下は四捨五入
困りごとを解決する上で、自分の症状を職場に伝えるかは悩むポイントになると思います。
今回のアンケートでは「伝えた」と「伝えなかった」方がほぼ半々に分かれる結果となりました。
伝えた方のコメント
女性・30代
周囲に迷惑をかけていはいけないと思い、仕事を休んでしまう理由を上司や同僚にしっかりと伝えました。そうしたら会社が推奨しているメンタルクリニックを紹介してもらえたので、何度か通って薬の処方をしてもらい、睡眠障害や不安症を少しずつ改善させることができました。
男性・30代
特性や症状を職場にしっかり伝えたほうが周囲からの理解や配慮が得られるので、より仕事のしやすい環境で作業ができると思ったから。
男性・30代
自分の症状を打ち明けないと状況が改善せず、さらに悪化してしまうと判断した為。
伝えなかった方のコメント
男性・30代
伝えたところで変わるとは思えなかったし、変に軽蔑されたり誤解されるのを避けたかったから。
女性・20代
弱い自分を見せるようで悔しいというのもありましたし、どう伝えればわかりやすいかが考えられなかったです。
男性・20代
自分がうつ病ということを悟られたくなかったのでいうことはできませんでした。言ったところで相手に非があるわけでも、こちらに非があるわけでもないので解決はできなかったと思います。
うつ病に対しての社会のイメージがさらに相談しにくい環境をつくってしまっている可能性もありますね。
伝えてよかった?困りごとが解決した人は43%!
・解決した 24票(13.4%)
・ある程度解決した 53票(29.6%)
・あまり解決しなかった 49票(27.4%)
・解決しなかった 53票(29.6%)
※小数点第2位は以下四捨五入
約4割の方が職場での困りごとが「解決した」「ある程度解決した」と回答しています。
解決に繋がっていない方がやや多いものの、「伝えた」方が「伝えなかった」方に比べて困りごとの解決に繋がった傾向も見られました。
まとめ
①「対人関係」「体調管理」「仕事内容」で悩んでいる方が多い
②困りごとが解決した方は約4割
③自分の症状を職場に伝えたほうが困りごとの解決に繋がりやすい
ということが分かりました。
自分の症状を職場に伝えることはハードルが高く感じるかもしれませんが、結果的に困りごとの解決につながっていることを考えると、伝えるメリットも大きいようです。
限界まで我慢して、さらに体調が悪化してしまったり、仕事をやめなければいけなくなってしまう前に、早めに「相談する」「休む」など自分の身を守る選択をできるようにしていくことが大切です。
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