93.2%が「電車通勤は嫌だ!」発達障害の方が最も辛いこと1位は「人の多さ」
しかし、その電車通勤が原因で、日々ストレスを感じている人も少なくありません。
例えば、
・通勤するだけ疲れてしまい、本当はリモートで仕事をしたい
・人の視線が気になり、緊張してしまう
このような悩みを抱えながら、なんとか通勤を続けている人もいるのではないでしょうか。
今回は、発達障害(ADHD・ASD・LD)の方88人を対象に、「電車通勤で1番辛いこと」について調査しました。
アンケート概要
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年8月23日~2024年9月6日
調査人数:88名(男性33名 女性55名)
年代:10代(1名)・20代(28名)・30代(31名)・40代(25名)・50代(3名)
1. 年齢を選択してください。
2. 性別を選択してください。
3. 電車通勤をしたくないと感じますか?
4. 電車通勤で1番辛いことは何ですか?
5. 具体的なエピソードを教えてください。
6. 電車通勤の辛さを軽減するための対策を教えてください。
93.2%が電車通勤したくない
・はい 82票(93.2%)
・いいえ 3票(3.4%)
・どちらでもない 3票(3.4%)
※少数点第2位以下は四捨五入
電車通勤したくないと感じている人は93.2%で、ほとんどの人がすすんで電車通勤をしていないことが分かりました。
ではどんなことが1番辛いと感じているのでしょうか?
電車通勤で辛いこと第1位「人の多さ」
1位:人の多さ 18票(20.5%)
2位:車内の環境(匂い、温度、騒音など) 17票(19.3%)
3位:周囲の情報量が多い 16票(18.2%)
同率3位:精神的なストレス(乗客との接触・人の視線など) 16票(18.2%)
4位:体力的な疲労感(座れない・立ちっぱなしなど)
5位:電車の遅延や運休による臨機応変な対応 6票(6.8%)
6位:通勤時間が長い・乗り換えが多い 5票(5.7%)
・その他 1票(1.1%)
※少数点第2位以下は四捨五入
電車で1番辛いこと第1位「人の多さ」、2位「車内の環境」、3位「周囲の情報量が多い」という結果になりました。
では、具体的にどのようなエピソードがあったのでしょうか?
詳しく見ていきましょう!
第1位「人の多さ」
女性・20代
ADHDを持っているため、電車内でもソワソワしてしまうのですが、電車内で座っていると向かい側の人が怪訝な顔をして別の席へ移動してしまうのが悲しいです。
男性・30代
満員電車の人の多さが辛い。いろいろな人がいるのでトラブルになってしまったらどうしようと余計なことを考えて不安になってしまうことが多い。
男性・30代
満員電車で扉が閉まると、過剰に圧迫感を感じて、居ても立っても居られないぐらい不安感が膨れてくる。
男性・20代
通勤時は電車内は満員状態でADHDの私は一定の場所でじっとしている事が出来ず頻繁に身体を動かしてしまうので周囲の方々に迷惑をかけてしまい本当に精神的に辛いです。辛さに耐えきれず降りる必要のない駅で降りて気持ちを落ち着かせたりして再度次の電車に乗って勤務先に向かいますが出来る事ならば電車通勤はしたくないです。
特に通勤ラッシュの時間帯では、多くの人が密集し、自由に身動きが取れないことから、身体的・精神的な負担があるのかもしれません。
第2位「車内の環境」
女性・30代
乗客がさほど乗っていなくても、ジメジメした空気や人の匂いがしただけで不安な気持ちになりやすくパニックを起こしてしまうことがあります。
過敏になっている時には電車の走行音や止まる時の音も気になってしまうことがあります。
女性・20代
電車通勤を1年程していました!私はADHDがあるのですが、電車の乗車中の音(走行音等)がしんどかったです。気が散ってしまうのと、何だか落ち着きません。
女性・30代
基本的に、閉所恐怖症のように、あの空間に留まるのがつらいです。健常のひとで例えるなら、エコノミーシートで長時間フライトするのと同じような感覚です。体をバタバタしたり、立ち歩きたくなる衝動に駆られます。
女性・20代
電車の線路の音がうるさい区間があるので、ヘッドホンを忘れた場合は苦痛でした。また、嗅覚過敏が酷いので、香水はもちろんのこと柔軟剤のにおいや汗のにおいなど色々なにおいが混ざっている空間に長時間乗車しなければいけない時は特に苦痛です。
特に夏は、汗により体臭が強くなり、制汗剤をつけるため、さらに不快に感じるという方も多いようです。
第3位「周囲の情報量が多い」
女性・30代
満員電車の時が最悪です。いろんな音がするし、いろんな話声もする、赤ちゃんが泣き叫んだり、食べ物のにおいもしたりする、いろんな人が見える、イライラしている雰囲気がする。情報量が多すぎてもう吐きそうになります。
男性・20代
視界に色々な人が入ると落ち着いていられない。狭い空間の中で人が多いと息苦しくなります。
女性・20代
電車内の広告や、隣の席の人のイヤフォンの音漏れ、電車内のアナウンス、窓の景色など情報が非常に多く、必要な情報のみ受け取るということが出来ない為、頭が痛くなってしまったり、自分の駅で降りることに対して集中出来ず寝ていた訳でもないのに降り忘れてしまったりすることがあり困っている。
男性・30代
駅構内で迷ってしまう。いつもと違う改札口から出るとわけがわからなくなってしまう。
なら同じ改札口から出ればいいんですが、何故か人の流れに合わせてしまってたまに違う改札口からでて遅刻したりしてます。
電車の走行音やアナウンス、乗客同士の会話以外にも、広告やスマートフォンの音など視覚・聴覚に入ってくる情報が多いため、それが過剰な刺激となり、ストレスを感じてしまうのかもしれません。
同率3位「精神的なストレス」
女性・30代
1人の空間が好きなので横に知らない誰かが座っているのが嫌だし、夏は特に半袖で皮膚が触れてしまったりするととてもストレスです。
男性・30代
混雑時人に接触して何かよくないこと(痴漢冤罪等)が起こるんじゃないかという不安が常に駆け巡り、周囲に常に警戒を払っていた。また周囲の音、動作をもれなく拾ってしまい、脳内で個々に反応してしまう事で精神的に疲弊するほか、周囲の会話からの連想により起きてもいない事態の想像が脳内再生され、乗り過ごしなどもよく経験した。
女性・20代
注意欠陥の特性があり、気を付けているつもりでも電車を乗り間違えてしまったり、反対方面の電車に誤って乗ってしまうことがあり、基本は注意しているので乗り遅れることが少ないが、帰りなど注意が少し薄れているときに感覚のまま電車に乗ると反対方面の電車に乗っていることがあります。
男性・30代
立っていると立ち位置に気を使わないと文句を言われるんじゃないかと怯えたり、座っていても隣の人とできるだけ接触しないように体を丸めようとして変な態勢になって逆に疲れたりすることが多かった。
特に男性の方は「混雑時の意図しない接触により、痴漢をしたと誤解をされてしまうかもしれないと極度に不安を感じ、触れないように努め、疲労を感じる」ということも。
混雑時の電車内は、個人のスペースはなく、プライバシーが守られにくいため、心理的な負担が大きいのかもしれません。
第4位「体力的な疲労感」
女性・30代
基本的に満員電車なので潰されるし、苦しくなったり降りれなかったらと思うと不安になって具合が悪くなってくる。
女性・30代
混んでる時間帯は座れないし、出入り口から奥に進んでくれないので、密集して呼吸が苦しくなり、貧血になりかけたことが何度もある。
女性・20代
人が多くて座れないと、体が勝手に緊張して過敏性腸症候群が発症してしまう。
男性・20代
特に満員電車になったときに何もしていないので疲労感を感じてしまい、業務に支障が出てしまったことがありました。
長時間立ちっぱなしでいると、通勤後の疲労感が増加し、業務にも影響が及ぶことも。
人の多さや騒音などによる精神的な疲労と長時間座れないなどの体力的な疲労により、大きな負担がかかっているようです。
第5位「電車の遅延や運休による臨機応変な対応」
男性・30代
幼い頃からから電車の遅延等で、時間通りに進まないことがとても辛くストレスを感じます。
女性・30代
天候による運休は事前にお知らせが来ることもありますが、遅延はいつ起こるかわからないので不安に感じて、乗り物に対する恐怖が消えない。
女性・20代
通勤時に電車が遅延した場合、会社に対してどのような行動を取ったらいいのかわからなくなる。
予期しない遅延や運休によって、スケジュールが乱れてしまうため、不安が増加し、ストレスを感じるのかもしれません。
電車通勤のストレス対処法を聞いてみた!
それでは、詳しく見ていきましょう。
混雑への対策
男性・20代
混み合う時間帯前の電車に乗るようにしている。電車に乗るときはノイズキャンセリングイヤホンをして周囲の音を少しでも減らす努力をしている。
男性・30代
辛くなったら降りる必要のない駅でも迷わず降りてホームのベンチに座り深呼吸をし、気持ちを落ち着かせるように対策しています。
女性・20代
なるべく混んでいない路線、時間を選ぶ。どうしても混んでいる時は端によったり、過敏に反応しないように注意している。
男性・30代
満員の時の圧迫感を軽減させるため、なるべく扉の近くに立って外を見るようにしている。
女性・30代
時間はかかっても各駅停車をなるべく使ったり、比較的空いてる車両を探して乗っています。
・ノイズキャンセリングイヤホンの使用
・混み合う前の時間帯や各駅に乗車
・混雑時は端に寄る、窓側に近い場所にいる など
がありました。
特にノイズキャンセリングイヤホンは、周囲の騒音を遮断することで、外部の刺激を最小限に抑えられるため、音に敏感な方や混雑した環境に不安を感じる方にとって大きな助けとなっているようです。
車内の匂い・騒音などへの対策
女性・30代
暑い日は保冷剤を握って乗ったり、落ち着くアロマをハンカチに当てて口元に当てながら気を紛らわすと落ち着きます。音に関してはイヤホンを片方だけつけてBGMのように流しておくと気にならなくなります。
女性・30代
マスク二枚重ねと、イヤホンをしてなるべく周りを意識しないようにしています。
男性・30代
なるべく出口の近くや窓際に居座るようにして対策しています。
・ノイズキャンセリングイヤホンの使用
・マスクの着用
・出口や窓際にいる など
がありました。
混雑時の対策と同様に、ノイズキャンセリングイヤホンを使うことで車内の騒音に対する過剰反応を抑えたり、マスクを二重にして不快感を減らすなどの工夫をされている人が多いようです。
また、空気の流れがある場所を確保することで、車内の息苦しさや不快感を和らげようとしている人もいました。
周囲の過多な情報量への対策
女性・30代
とにかく「満員電車時をさける」ことです。早めに出勤する、もしくは遅くなってもいいから「普通(鈍行)」に乗るなど、満員電車を避けるようにしています。
女性・20代
サングラスをしたり、音を流さずにイヤフォンをすることで、強い光や隣の席の人のイヤフォンの音漏れを気にすることが少なくなった。
男性・30代
降りるのは終着駅なので、乗客みんなが降りてから自分が降りるようにしています。
・混雑時間を避ける
・イヤホンやサングラスを使って刺激を遮断 など
がありました。
また会社に「通勤時間の変更を相談する」といった、より長期的な対策をしている人も。
このような一時しのぎの対策ではなく、根本的な解決に挑戦することも重要です。
乗客との接触や人の視線への対策
女性・30代
夏場もなるべく早く七分袖の服を着て露出を減らし皮膚と皮膚が当たらないようにしています。
男性・30代
ラッシュ時間帯を避けて通勤をすることをしていました。それでも嫌だったので現在はフルリモートの仕事に転職し電車に乗る事自体を無くしました。
女性・30代
帽子をかぶる。座っている時は、携帯電話で情報を見たりして、視線が気にならないようにする。
女性・20代
よく利用する電車の始発駅周辺に住むこと(なるべく座っていられるように)や、暑さ寒さ対策になる小物(手持ち扇風機やホッカイロ等)、電車内でできることを見つける(読書やスマホゲーム、ポイ活等)があると電車通勤が少しだけ楽になると思います。
・ラッシュの時間帯を避ける
・帽子をかぶる
・本や雑誌を読む
・イヤホンを使用する など
がありました。
特に印象的だったのは、「人との接触を避けるために、なるべく座れるようにしておく」という対策を徹底するため、始発駅の近くに住むということでした。
少しでも通勤時のストレスを軽減するために、生活環境そのものを工夫する方もいることが分かりました。
座れない・立ちっぱなしへの対策
女性・30代
混んでる時間帯を避ける、それが無理な場合は音楽など気分転換できるものをいくつか用意する。
女性・30代
ヘルプマークをバッグに下げてるので、どうしても耐えられないときはかなり申し訳ないかんじで譲っていただけないでしょうか?とお願いしています。ですが、以前譲っていただいた方が風邪をひいてる人だとわからず、逆につらい思いをさせてしまったことがあるので、この方法は最終手段です。
男性・30代
乗る時間が一定以上になる場合は多少移動が多くなっても可能な限り人が少なく座れる場所を探す
・移動の手間が多くても、人が少ない場所を探す
・ヘルプマークを使う
・混雑する前の時間帯に電車を利用する
・気分転換ができるものを準備しておく など
がありました。
あらかじめ疲労への対策を準備をし、体力の消耗を軽減するための工夫が行われいるようです。
臨機応変な対応への対策
男性・30代
遅延が発生した場合に、他の交通手段に変更なども考えて行動しています。
女性・20代
電車は遅れるものであると理解して、早めに出かけるようにしています。
女性・30代
とにかく考えないことが重要だと思う。音楽が好きなら音楽を聴き続けるとか。私は文字を読んでいないと落ち着かないのでずっとスマホを見ています。
・遅延が発生した場合に備え、他の交通手段を準備する
・遅延するものと理解した上で、早めに出社
・気持ちを落ち着かすものを準備する など
がありました。
これらの対策を通じて、予期しない遅延や運休に対しても冷静に対応できる準備をしている方が多いようです。
遅延時のイライラや不安を和らげるために、お気に入り音楽を聴く、本を読むなど、リラックスできるもの用意しておくことも効果的です。
まとめ
② 電車で辛いこと「人の多さ」「車内の環境(匂い、温度、騒音など)」「周囲の情報量が多い」
③ 「ノイズキャンセリングイヤホンで周囲の音を遮断」や「通勤ラッシュの時間帯を避け、早めに通勤」などの対策をし、電車通勤をしている
このことから、電車通勤が身体的・精神的に多くのストレスを引き起こしていることが分かりました。
93.2%は「電車通勤をしたくない」と答えていることからも、通勤による疲労が精神的・肉体的にも大きな負担となっている一方で、多くの人が適応しようと工夫していることが分かります。
例えば、ノイズキャンセリングイヤホンを使って外部の音を遮断し、騒音や人の視線を気にしないようにしていたり、早めに出社することで、混雑を避け、人との接触や疲労感を軽減しようとしている方がたくさんいます。
また、会社と相談して出勤時間を遅らせたり、フルリモートの職に転職をすることで負担を軽減する方もいます。
中には始発の駅の周辺に住み、生活そのものを工夫している人も。
このように、働く側は仕事に支障をきたさないように努力しているものの、その努力だけでは限界があります。
通勤ストレスの根本を解決するためには、通勤を避ける時差出勤やテレワークを導入し、1人ひとりに合った働き方の選択肢を増やすことも1つの解決策ではないでしょうか。